だれも教えてくれない「カンタンで安全なヘルメットの携行法」

ヘルメットの携行法例示

私たちの活動では、ときどきヘルメットをご持参いただきます。
集合時、ヘルメットをどのようにご持参されたかをパッと見ると、ヒヤリとすることが多いのです。


ヘルメットの短所はかさばることですね。

日帰り用の小さなバックパックの中に収めることができない。

ですから多くの方が、バックパックの横に付いてるストラップや、ショルダーストラップ(肩パッド)の片側にヘルメットをぶら下げるように付けてくるので、ヘルメットはブラブラしたまま。バックパックを置こうとするそのたびに、ヘルメットのほうが先に小さく「コツン」と地面に当たります。

電車のなかで立ってるときは、からだの向きを変えるたびにヘルメットがドアやてすりに当たるようすも見ます。


これ、じつはよくないのです(なぜ、どのようによくないか、後述します)。

バックパックにヘルメットをくくりつけるなら、次の方法がおすすめです。

「カンタンで安全なヘルメットの携行法」は…

ヘルメットのあごにかかるストラップを、バックパックのショルダーストラップ両方の下側にとおして固定

たったこれだけ。
新たになにかを買う必要もなく、このようにするとヘルメットがバックパックの上にうまく乗っかり、背負ったときに頭にもひっかからないよい感じで持ち運べます。

ヘルメットのあごにかかるストラップを

バックパックのショルダーストラップ両方の下側にとおして固定。

コツ:
その1
一般にヘルメットの前側が下を向くようセットすると収まりがよい。
うまく収まらないときには、逆向きにセットしてみる。

その2
上述の手順でセットしても、どうしても収まりが悪いとき…
別に1本のストラップを用意する。
そのストラップを、下の写真のようにヘルメットの両耳がとおるスペースに通す。
上図のようにセッティングしたストラップを…
バックパック(リュック、ザック)の肩パッド(ショルダーストラップ)の下で留める。

あちこちにヘルメットが当たるのはなぜよくない?


ヘルメットは、転倒・転落・落下物などによる頭部への致命的な衝撃をやわらげるという唯一の目的のために使います。

ヘルメットは試験運用ができませんから、はじめて強烈な衝撃を受けるとき
・頭部や頸部を守りきれる
・衝撃に負けて役割を果たせない
いずれの結果になるのか、はそのときになってみなくてはわかりません。

そのヘルメットの素材は、複合的な強化樹脂や発泡材。
あらゆるものは劣化しますが、樹脂の劣化を肉眼でみきわめるのはほぼ不可能です。
だからイザというときに最大の効果が出るよう、日常で不要な劣化につながる衝撃をできるだけ避ける扱い方がたいせつなのです。

また、樹脂は一般に高温や低温に弱い性質があります。
高温になる車内に置きっぱなしにする、温度が極度に低くなる場所に置きっぱなしにする、あるいは温度変化が激しい場所を常時行き来するなどの扱い方は、保証された期間よりも劣化が早まる恐れが生じます。

ひと昔前(30年くらい前)は、ヘルメットにマーカーで文字を書いたり、ステッカーを貼るのもよくない、といわれてました。
マーカーの溶剤、ステッカーの糊に含まれる化学物質がヘルメットの素材(当時はABSと呼ばれる樹脂が主流)を弱めるという理由でした。いまはわかりませんが、用心に越したことはないのでトリビア的ではあるけど、あえて記します。

【買い替えのタイミング】
一度でも大きな衝撃を受けたヘルメットはつぎに使う前に新品にしましょう。
何も衝撃を与えていなくても新品で購入してから5年以上経ったら買い替えを検討しましょう。
子どもの場合、ちょうど5年くらいでサイズアウトする頃ですが、成人はつい買い替えのタイミングを見過ごしがち。
かくいう私もその傾向があります。

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